日本人で、
「除夜の鐘を聞いたことが無い人!」
って方は、まずおられないのではないでしょうか?
厳かな音色とは、まさにこの事ですね~。
除夜の鐘が、初めて公共の電波を使って流れたのは、
1927年(昭和2年)上野・寛永寺の鐘の音。
JOAK(NHK放送センターの前身)のラジオ放送で、
もう90年も前のことです。
日本の多くの仏教寺院では、
除夜の鐘が鳴る回数が、108回撞かれる事は
ご存じと思います。
でも、107回までを31日に撞き、
残り1回は、元旦に撞くって事は、
知らなかったんじゃないでしょうか。
でも、どうして108回なんでしょう?
除夜の鐘の意味は煩悩
諸説あるようですが、仏教では、
人間の煩悩(ぼんのう)は108個あると
古くから考えられてきました。
煩悩とは、人間の心を惑わし、
悩み苦しませる心の働きのことを言います。
大晦日に鐘を撞くことで、
この人間のどうしようもない煩悩を払い
清めるのだそうです。
本来なら、仏教の厳しい修行を積む事で、
煩悩を取り払い、解脱させて頂くのですが、
修行僧のような厳しい行を積んでいない、私たち一般庶民でも、
除夜(大晦日のこと)に鐘をつけば、
心の乱れや汚れを祓うことができる、
という信仰が、現在まで伝わっているんです。
ちなみに、仏教寺院の中には、
希望者が多く、108回以上撞く寺院もあります。
除夜の鐘の108回には様々な由来がある
作法としては、
鐘を撞く前に鐘に向かって合掌し、
お祓いいただく感謝を込めて撞きます。
人生の四苦八苦(4,9,8,9)を取り払うため、
4×9+8×9=108回鐘を撞くという説。
ほかに、
人間の欲望は6つの感覚器官(眼、耳、鼻、舌、身、意)
からもたらされ、
3つの状態(好、悪、平)、
さらに2つの状態(浄、染)から
感じ取るのだという説もあります。
- 好=気持ちが好い。
- 悪=気持ちが悪い。
- 平=どうでもよい
- 淨=きれい。
- 染=きたない。
6×3×2=36回
そして、前世・今世・来世の3回で、
36×3=108回鐘を撞くという説。
(宗派で少し表現の違いが有ります。)
それから、1年間の季節を表している、
という説などもあります。
寺院の鐘のことを、梵鐘(ぼんしょう)といいます。
中国で生まれ、仏教の伝来に伴い
朝鮮半島や日本にも伝わってきました。
古来より、寺院にはなくてはならない物です。
日本の梵鐘の事を和鐘といい、
福井県の常宮神社の鐘が、年代の明らかなものとしては最古で、
833年といわれています。
他に、国宝や重要文化財に指定されている梵鐘は、
日本三名鐘として、
- 園城寺(三井寺)鐘
- 神護寺鐘
- 平等院鐘
なども残っています。
ただ悲しいことに、
第二次世界大戦時の金属回収令を受けて、
供出されたまま、行方不明となっている梵鐘も多いんです。。。
この金属回収令で、9割の鐘が失われたと言われています。
近隣のお寺の鐘の歴史や由来などを調べてみると、
面白いかもしれませんね。
まとめ
心に響く鐘の音・・・
今年一年の無事に感謝し、108の煩悩をお祓いいただき、
来る翌年が、さらに佳き年となりますように。
同時に、平和への感謝も忘れずに捧げたいと思います。
最後までお読み頂きましたことに感謝申し上げ、合掌。
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